工学部の学科ごとの違いを解説【理系向け】
理系の大所帯、工学部。
ザックリいうと理系の技術を使い、世の中をもっと便利にすることを目指す学部です。
そして分野があまりに広すぎるがゆえ、工学部は学科に細分化されていますが、数が多いので受験生にとってそれぞれの学科が具体的にどんな事を学ぶのかがイマイチ分かりにくいですよね。
そこで今回は、工学部の学科ごとの学べる学問・就職先の違いを紹介していきます。
それではいってみましょう!
工学部の学科ごとの違い・特徴
機械工学科
学問
輸送機械(自動車・船舶・航空機)、ロボット、鉄道、医療機器等の「機械」を設計・製作・運用する学問です。
工学分野を幅広くカバーするため、
・熱の流れを研究→高効率なエネルギー変換
・精密機械
・ナノテクノロジー
・バイオメカニクス
など研究内容は様々です。
工学に関してオールマイティーな人材になれるといえるでしょう。
主な就職先
・機械系メーカー全般
・航空会社
電気工学科
学問
・エネルギー源としての電気の発生や変換
を中心に学ぶ学問です。
パソコン・スマホなどの通信機器、輸送機械、家電など社会のほぼ全てが電気で動いている現代において、限りある資源を電気へ高効率で発生・変換させることは必須であり、人類の未来を担う学問といえます。
高校の科目的には、物理で扱う「電気回路図」が好きな人向けです。
回路が嫌いな人はダメってわけではないですが、回路嫌いの電気系学生に待っているのは「ちゃんとした地獄」でしょう。笑
主な就職先
・家電系メーカー
・輸送機械系メーカー
・電力会社
情報工学科(情報学科)
学問
インターネットの発達に伴って、最近では工学部情報工学科が色々な大学で設立されています。
学問としては主に「コンピューターの仕組み」や「コンピューターが計算するプロセス」を学びます。
コンピューターの原理に興味がある人向けです。
よく間違えがちなのが、
・ゲーム制作に憧れていて、プログラミングを使いこなせるようになりたいから情報学科に入る
という選択です。
もちろん情報学科でもゲーム制作に使えるプログラミング言語は学べます。
しかし情報学科の本質は「コンピューターの根幹が分かるスペシャリストになること」なので、コンピューターの計算方法や歴史など、全くプログラミングとは関係ない分野に心を折られてしまう人が続出します。
ゲーム制作のためにプログラミングを学びたいのならば、ほかの学部に入って知見を広げつつ、プログラミングは独学で学習するのがオススメです。
今はプログラミングもオンラインで独学学習できるツールが溢れていて、中学生・高校生プログラマーとか普通にいるのでびっくりします。
【無料】
主な就職先
・メーカー全般
・IT系企業
建築工学科
学問
建築工学は、建築物を生産するプロセス~都市計画・地域開発までを指す幅広い学問です。
人が暮らす都市の「ライフライン」を学ぶ学科とするのが適切でしょう。
大学では建築物とかかわりの深い構造力学・材料学や建築の歴史を学んだり、実技として設計製図を学びます。
特に「CAD」というコンピューター上で設計図を書くときに用いられるソフトは、この学科に進んだ人は必ずお世話になります。
研究室では
・自動運転に最適化した街づくり
というテーマでの研究が活発に行われています。
主な就職先
・建設会社系
・官公庁
・設計事務所
材料工学科
学問
人間が使うモノ(電化製品・輸送機械・建築物)の性能を最大限に引き出せるような「材料」を研究する分野です。
研究する材料は金属・セラミックス・有機化合物など多岐にわたり研究アプローチの仕方も多様性があるため、物理と化学の知識を両立させて広い知見を持つことが必要になります。
そんな背景もあり、ほかの学科に比べて研究室ごとの研究内容の違いが非常に大きいのが特徴です。
キーワードとしては「新素材」。
主な就職先
・メーカー全般
(材料学は応用が利くので、電気・IT・航空・建築・医療など様々な分野が視野に入る。)
(逆にいうと、「勉強することが多い」)
化学工学科
学問
化学反応の過程、たとえば
・どの機器を使用した方が反応にとって都合が良いか
・どうやったら原料のコストを削減できるか
・効率の良い反応物・生成物の分離・精製・回収
・化学反応で生成される廃棄物
などについて学び、化学製品の製造プロセスを発展させる学問です。
大学では主に、社会のためになる製品を化学的に創生できる研究者・技術者になることを目指して学びます。
「物理よりも化学が好き」という人はこの学科が向いていると思います。
主な就職先
・化学系メーカー
・製薬系企業
【注意】就職先について
高校生がほぼ絶対勘違いしている点が、学科ごとの就職についてです。
正直、学科と就職先はあんまり関係ありません。
これはどういうことかというと
・この学科に行ったのなら、就職は「その分野の関連企業」しかない
ということは全くないということです。
もちろん大学で研究した分野と被っている分野の企業に就職すれば、多少大学の知識は活かせます。
しかし大学の研究は「その分野の中の極小範囲で、すんげえピンポイントの研究」をしているので、企業で大学研究の知識がそのまま生きる事はほとんどありません。
学科ごとに多少就職先に特徴が出るのは
・その分野を学んだ結果、分野の関連企業に興味が沸くので就職する人が多くなる
という結果論です。
それよりも大学の研究で学ぶのは(学ぶべきなのは)
・出てきた課題をどう解決するか
という「研究する上での考え方」や「問題解決のプロセス」であり、これが身についていれば世界のどこでも通用します。
なので工学部に限らず、学部・学科選びで大事にすべきなのは
・その学科からの過去の就職先データ
などではなく
・その学部・学科は自分が興味をもてる分野か?
という視点です。
まとめ
今回は工学部の学科ごとの学ぶ学問の違い・就職先の違いをまとめました。
進路を決める際の一つの参考にしてください。
また他の記事では、志望校の決め方や
最速で偏差値を上げるための勉強法を解説しています。
ぜひ勉強の休憩時間などにご覧ください。
では!
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