実験レポートの書き方【最速で高評価を取る】
学生の授業では「実験」なるものがあります。
実験は物理実験と化学実験に分けられますが、どちらも共通して言えることは「課題として実験レポートが課される」という点でしょう。
実験レポートは作成に慣れるまでめちゃくちゃしんどいです。
時間がかかる割に、労力に見合った評価がついてこないんですよね。丸2日かけて作成した渾身の実験レポートがあっけなく再提出になることもあります。笑
しかし理系大学生4年目になり最近では(やっと)作成にかかる時間を最小限に抑えて、高評価を取れるようになりました。
そこで今回は実験レポートで高評価を取るための書き方と題して、実験レポートの基本的な作成方法と高評価を得るためのポイントを紹介していきます。
紹介するポイントを理解し、要点を意識して書くことで結果的に最速で終わらせることもできます。
理系大学生の方は参考にしてください。
ではまず、実験レポート作成方法の基本から紹介していきます。
実験レポート書き方の基本
理系の実験レポートは文系のレポートのようにただ闇雲に文字数をかせげば良いのではなく、きちんと型にはめ、決まりごとにしたがって書き進めていく必要があります。
レポートの構成は以下のように書くのが決まりです。
- タイトル・著者
- 導入(Introduction)
- 実験方法(Materials and Methods)
- 実験結果(Results)
- 考察(Discussion)
- (まとめ)
- 参考文献(References)
これが一般的な実験レポートの構成です。
頭文字をとってIMRADと呼ばれたりします。
理系の実験レポートでは、このIMRADに従って書き進めるのが暗黙のルールです。
※実験によって少し違う構成を指定される場合があります。その場合は指定された構成に従えばOK。
ではIMRADの各パートごとの書き方を紹介していきます。
タイトル・著者
実験レポートの表紙にあたる部分です。
レポート用紙を一枚使って
- 実験のタイトル
- 実験の実施日
- 共同研究者(いれば)
- 名前(と学籍番号)
を書きましょう。
導入(Introduction)
導入では、読み手に実験の全体像をつかませます。
感覚としては「おおざっぱなところからどんどんアップしていって、最後に実験の目的を書く。」という感じです。
たとえば下の例。
「酸化物高温超伝導体の合成と低温電気抵抗測定」実験の導入部分
超伝導とは物質の電気抵抗がゼロになり、完全反磁性を示す物理現象である。実生活の中ではリニア新幹線やMRIといった形で応用されている。歴史的には1911年に水銀で初めてこの現象が確認されてから、単元素のみならず、合金や化合物でも超伝導物質が発見された。中でも本実験では、1987年に発見されたY-Ba-Cu-O系超伝導体の~(略)~することで合成し~(略)~により確認することを目的とした。
上の例は(私の実験レポートの導入部分)、実験分野のザックリした説明から徐々に取り扱う材料に近付いていき、最終的に実験目的を述べています。
文章を長くしたければザックリの部分を増やせばいいのですが、基本的に理系の実験レポートでは短く簡潔なものが好まれます。
長々と余分な情報が書くのではなく、簡潔に実験の大事なポイントを伝えるのが実験レポートです。
また導入を書くときのやりがちなミスとして実験目的に「~の測定方法を学ぶことを目的とする。」とか「~の技術を学ぶことを目的とする」と書いてしまうものがあります。
上の例は大学があなたたちに教育としてその実験を行う目的であって、実験目的ではありません。
実験目的としては「~を求めることを目的とする」とか「~を比較し、立証することを目的とする」と書きましょう。
導入は、考察の次に頭を使うパートでしょう。
実験方法(Materials and Methods)
実験方法では、実際に行った手順を箇条書きで書いていきます。
箇条書きなので
1 粉末試料をーーーした。2 電子天秤を用いてーーした。
という風に番号で区切っていくのは間違いです。
実験方法は他の人がその実験を再現できるように実際に行った手順を書けばいいのであって、お料理レシピではありません。
そして自分はこの実験手順を実際にやったんだぜということを伝えるために時制は過去形で書きます。
大学の実験では大概マニュアルとかテキストが配布されますので、それを参照しながら実験方法をまとめましょう。
実験結果(Results)
実験結果では実験のデータをグラフ・表と文章を使いながら述べていきます。(excel等を使った具体的なグラフ・表の作成方法はまた別の記事でまとめます。)
このセクションでは主観を書かずに、実験をやって判明した事実を客観的に淡々と書きます。
またグラフ・表をレポートに挿入する際はグラフのタイトルはグラフの下、表のタイトルは表の上に書き込みます。これも暗黙のルールです。
考察(Discussion)
考察は「実験結果から何が言えるのか」について考え、主観を織り交ぜて議論するパートです。
このパートが実験レポートの評価が分かれるポイントになります。
実験の本質を理解していることが読み手(教授)に伝わるように自分の考えを書きましょう。
「考察」で書く内容の一例
書く内容としては例えば、
・仮説や前例と照らし合わせたとき、今回の実験結果はどのような解釈ができるのか。
類似の実験について言及している文献等の結果と照らし合わせて「どこが一致していてどこが対照的なのか」また「その原因は何か」を書く。
・結果に含まれる誤差の原因を考え、誤差が結果にどの程度影響しているのかを考える。
・どのような変更を加えて実験を行えば、より良い結果が得られたであろうか。
学生実験ではコストや時間的な制限などがあり、実験環境が最適ではない場合が多いので、そこにイチャモンをつける。
たとえば時間的な制約は毎回の実験で存在するので「今回は10個のデータを測定したが、10000個測定した方が正確な値が知れた」とかは毎回使える。
・有効数字について考える。
測定器具の目盛りの粗さによって有効数字は変わってくる。
などが挙げられます。
冒頭で「実験レポートは簡潔な方が良い」と述べましたが、考察パートに関してはできるだけボリューミーなものが好まれます。
信頼できる文献と照らし合わせ、ある程度時間をかけて作成しましょう。
考察作成時の注意点
考察は「考察」であって、「感想文」ではありません。
感想文にならないように注意しましょう。
教授は「感想文のような考察」を最も嫌います。
また、オーバーに書きすぎないように注意しましょう。
学生実験で取り扱う内容は既知のものなのにも関わらず、まるで世紀の大発見をしたように書いてしまうと、ただの変人です。
例えば
・この結果により、~~~というような規則性を見出すことに成功した。(←実験テキストにも載ってる定理。)
みたいな感じですね。
実際に私は一番初めのレポートでこの「大発見した人」の書き方をしてしまい、盛大に再提出を食らいました。
まとめパート
まとめでは導入で述べた実験目的に対しての結論を書きます。
導入に対応していればいいので、短い文章で構いません。
参考文献(References)
レポートを書くうえで使った参考文献を書きましょう。
最低でも2、3個は書くことが好まれます。
文献が好まれますが、Webサイト(まとめ記事とか掲示板は論外)を使った場合は
・サイトを閲覧した日付と時刻
(Webサイトは文献と違っていつでも書き換えられるので、見た時期によって内容が変わってしまう可能性があるため)
・サイト運営者・運営会社の情報
を書きましょう。
※教授によってはWebサイトからの引用は全面禁止にしてくるので、その場合はそれに従いましょう。
※Web引用がOKな場合でも、「yahoo知恵袋」とか「教えてgoo」みたいな誰でも書き込める掲示板サイトだったり、運営者情報が全然分からないようなサイトをレポートの文献として引用するのは常識的に100%アウトなので気を付けてください。
以上が実験レポートの基本的な作成方法です。
私を含め、ほとんどの名大生は実験レポートを作成する際にこの文献を使用しています。
実験レポート作成法/畠山 雄二・大森 充香/丸善出版
評価:★★★★☆
理系学生の大学生活に実験はずっとついて回るので、マニュアルとして一冊もっておけば毎回書き方をググる必要がなくなり、レポートの生産効率が上がります。
では次は実験レポートで高評価を取るためのポイントです。
高評価をもらうためのポイント
考察の質を高める
繰り返しになりますが、実験レポートの評価は考察パートによって決まります。
他のパートではちゃんと決まり事やルールに従えば、減点もないし加点もないでしょう。
先ほどの考察パートの解説で述べた考察の書き方と注意点を踏まえ、ある程度の分量の文章を書くことができれば、それなりの点数はもらえます。
そして更に加点を得るには、時間をかけて自分なりの仮説を実験結果と照らし合わせて文章にする必要があります。
しかしまだ慣れないうちは実験の内容が専門的だったりすると、いくら考えたところで全く考えが浮かばないこともありますよね。
そこで大事になるのが質の良い参考文献を見つけることです。文献によっては優秀な考察が載っていたりします。
丸写しはあまりよくないですが、自分の言葉に書き換えればもう立派なあなたの考察と言えるでしょう。
他大学の図書館であっても使える場合があるので、自分の大学にめぼしい図書館が無い場合は近隣の大学の図書館で探してみるのも手です。
また、これはちょっと上級者向けのコツですが、「Google Scholar」を使って関連分野の学術論文を調べ、それを参考文献として使うのもアリですね。
※Google Scholarとは、Googleの「学術論文専門の検索エンジン」です。
普通の検索エンジンでは出てこないような論文も見つけられます。
実験を行ったその日のうちに書き上げる
実験レポートって、実験があった日の翌週や翌々週に提出期限が設けられていることがほとんどですよね。
なのでほとんどの人は締め切りギリギリまでレポートは放置して、提出2日前とかにやろうとします。でもそれってめちゃくちゃ効率悪いです。
実験が行われた一週間後に実験内容なんて頭に残っていませんので、作成できるレポートの質が落ちる上に、作成にかかる時間も増えてしまいます。
実験レポートは実験を行ったその日に終わらせましょう。
分量が多くてその日のうちに完成までもっていけない場合は、実験レポートの考察内容だけでもまとめておきましょう。
そうすれば内容を理解した状態で質のよい考察を作成しておいて、あとは提出期限までに実験手順とかをひたすら書き写せばいいだけの状態になります。
出回っている過去レポートと一緒にならないよう注意
実験によっては「過去に同じ実験を受けた先輩の作成したレポート」が出回っている場合があります。
過去レポートは参考にする分には良いと思いますが、思考停止した状態で内容をパクるのは辞めた方がよいです。
教授は実験の過去レポートが学生内に出回っていることを知っています。
実際に私の大学の教授も「7割くらいの学生が毎回同じ内容の考察を書いてくるから飽き飽きしているよ。なにしに大学に来ているんだ。」とおっしゃっていました。
過去レポートを丸写しすると
・教授に嫌われる
これらの危険性があるので要注意です。
出回っているレポートは参考にする程度にしましょう。(ちなみに私が「過去レポほぼ写し」で提出した時は、不合格にこそならなかったものの、ちゃんと最低点で帰ってきました。)
まあ学生の立場から言わせてもらうと「私たちはこれ以外にもやることが色々あって、そんな実験レポだけに時間かけてられないんです。学生実験おもしろくないし。」って感じなんですけどね。
”研究”は楽しいですが、決められた手順通りの”学生実験”ってあんまり面白くないものです。
しかしこれは理系大学生なら皆通る道ですし、文章力が上がったり物理・化学の理解がより深まったりというメリットもありますので、めんどくさいですが毎回自力で片付けるのがオススメです。
提出期限に遅れない
当たり前のことですね。笑
いくら出来の良いレポートでも少し提出が遅れたら問答無用で最低点をつけるような教授も実際に存在するので注意が必要です。
取り掛かってみたら予想以上の時間がかかったりすることも多々あるので、はやめに取り掛かりましょう。
まとめ
今回は実験レポートの基本的な作成方法と高評価をもらうコツを紹介しました。
実験レポート作成は、理系として生きていくなら必ず必要となるスキルです。
はじめは時間がかかるかもしれませんが、慣れてくれば結構な分量も1日でこなせるようになるので頑張りましょう。
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